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話題のアニメ&ライトノベル『ベン・トー』原作者アサウラ「定価の弁当なんてブルジョアの食い物ですよ!」

話題のアニメ&ライトノベル『ベン・トー』原作者アサウラ「定価の弁当なんてブルジョアの食い物ですよ!」

[2011年11月29日]

半額弁当ゲットに命を賭けて戦うブッ飛びライトノベル『ベン・トー』。作者・アサウラ氏の実体験なんですと!

腹をすかせたヤツらが、スーパーで半額になった弁当を奪い合うだけのライトノベル&アニメ『ベン・トー』が、いま話題になっている。たかが半額弁当に闇の組織や美少女キャラが命をかけるという、このブッ飛んだストーリーが生まれた秘密を、作者本人に直撃!

***

―「半額弁当をめぐる争い」なんて一見バカバカしく感じるのに、こんなにアツい戦いが読めるなんて驚きました!

アサウラ(以下、ア) あれは、ほぼ実話なんですよ(あっさり)。

―えぇ!?

もちろん、女のコを殴ったりはしていないんですけど(笑)、北海道の大学で学生生活を送っていた頃の経験をもとに書いたのが『ベン・トー』なんです。僕自身は、家賃・電気代を除いて月に4万円で生活していた超貧乏学生だったので、半額弁当でさえごちそうで、定価の弁当なんかブルジョアの食べ物だと思っていましたが(笑)。

―小説で描かれている“狼”と呼ばれるような学生たちがアサウラさんの周囲にも……。

いましたよ。近所のスーパーで半額シールの貼られる時間になるといつも会うヤツらがいて、僕は彼らを心の中で“天然アフロ”“黒縁メガネ”なんて呼んで警戒していましたね(笑)。スーパーに入った時の独特の緊張感で、そいつらがいることはわかります。しかし、長時間、同じ位置に陣取って半額セールを待っていると不審に思われますから、弁当コーナーから絶妙な距離をおいてぶらぶらしてるんです。それで、ひとりが動いた瞬間にそのポジションに入り込んだりと、僕たちの間では見えない争いが行なわれていました。サッカー用語でたとえるなら、“ぶつからないゾーンディフェンス”と言いましょうか。

―そんなギリギリの攻防が!

別に悪いことをしているわけじゃないんですけどね(笑)。ただ、北海道人気質もあってか、人を押しのけて利益を得ることを恥じる気持ちもあって。だからこそ、〝店員がすべての弁当にシールを貼り終わるまで動かない〟とか、暗黙のルールがありました。ほぼ同時に弁当に手を伸ばし、先に向こうにタッチされてしまった時なんかは、〝俺はこっちを狙っていたんじゃありませんよ?〟みたいな体(てい)を一瞬で装ってほかのを取ったりも。常にコンマ1秒の心理戦が展開されていました。

―弁当の話にしてはアツすぎ!

(神妙に)これだけは覚えておいてください。商品というものは、需要と供給のバランスに則(のっと)って提供されるものです。しかし、スーパーは品切れを起こすわけにはいかないから、常に売れる数より多めに弁当を作る。そして余ったものに原価ギリギリの値をつけて再供給したものが半額弁当です。いわば、需要と供給の間に生まれた奇跡のスキマなんですよ。

―アレ、なんだかアサウラさんの顔がスティーブ・ジョブズみたいに見えてきましたよ!

こんなことばっかり言っているので、自分でも『ベン・トー』という小説がなんのジャンルなんだかよくわからないんです(笑)。『このライトノベルがすごい!』(宝島社)で紹介された時、「部活モノ」というカテゴリーに入れられていて、担当編集とふたりで「そうだったんだ」と初めて知ったくらいですから。

―「弁当モノ」というジャンルを作ったとしても、確実にこの作品しか入りませんからね! しかし、この小説には強い女性がたくさん登場しますね。屈強な男と顔面を平気で殴り合ったりしてる。

僕自身、女のコらしくて守ってあげたくなるような女性より、強い女の人が好きというか。『機動戦士Z(ゼータ)ガンダム』のハマーン・カーンがタイプなので(微笑)。格闘ゲームにも女性キャラは出てくるし、野生動物はメスオス関係なく弱肉強食の世界で生きているじゃないですか。だから、人間の女性だけ弱く書いちゃうことは、逆に差別だと思いまして。

―そう言われるとわかるような……。そういえば、『ベン・トー』にはラノベでありがちな“ツンデレお嬢さま”や“ピュアな妹”というキャラが一切出てきませんね。

確かに、ラノベらしくないとはよく言われます。読者の方に一番人気の著莪(しゃが)あやめなんかは、うちの実家の犬がモデルなんです(笑)。寝ていると上に乗っかってきたり、ゲームをしてたらまとわりついてきたりする描写は、全部犬に置き換えるとイメージしやすいですよ。ただ、そこが「エロい」なんていうレベルの高い読者さまもいるんですが(笑)。

―作中にちょいちょい出てくる「筋肉刑事」なるガチホモ小説もかなり上級者向けです(笑)

前に刑事モノを書いていたので、またやりたいなと思っていくつか企画を出したら全部ボツになってしまって(笑)。仕方なく劇中小説という形で出したのがアレなんです。それでも、最初はイマ風のBL(ボーイズラブ)にするつもりだったんですが、そのうちオッサンが主人公のケツを狙うハードなガチホモ小説になってしまいました。

―では最後に、アニメ版のお話も! 『ベン・トー』のアニメには、弁当の絵だけをひたすら描いている“弁当作画監督”という肩書の方もいるそうですね?

はい。弁当作監の方はここ数ヵ月だけ弁当を描いているので、おかしくなりそうだっておっしゃってましたよ(笑)。もう、ホントにアニメのスタッフの方には愛情を注いでいただいて、いつもツバの垂れるような弁当を描いてもらっています。小説でも弁当を描写するときは僕自身がちゃんと腹をすかせないと、どうもフワッとしたものになってしまうんですよ。だから、いつも腹をすかせながら、執念を込めて弁当を書いてます!!

(取材・文/西中賢治、撮影/山形健司)

アサウラ
北海道出身の27歳。大学在学中に第5回スーパーダッシュ小説新人賞・大賞を受賞してデビュー。セガのゲームをこよなく愛する。重度のミリタリーオタでもある。

『ベン・トー』
閉店間際のスーパーを訪れた男子学生・佐藤洋(よう)は、訳もわからず激しい肉弾戦に巻き込まれてしまう。そこでは、夜な夜な半額になった弁当をめぐり、“狼”と呼ばれる者たちの戦いが繰り広げられていた―。“現代学園モノ”と呼ばれるライトノベルの定番ジャンルだが、男女入り乱れて殴り合うすさまじいバトル描写が話題を呼び、10月から放送されているアニメ版(毎週火曜25:30?26:00/TOKYO MXほか)も好評。集英社スーパーダッシュ文庫で刊行中のライトノベルは現在、7巻まで発売中。
(c)柴乃櫂人/集英社スーパーダッシュ文庫 (c)アサウラ・柴乃櫂人/集英社・HP同好会

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